この日は、現在「ネオ・トロピカリア」を開催している東京都現代美術館チーフ・キュレイターの長谷川祐子氏と、
駐日ブラジル大使館のジョアン・バチスタ・ラナーリ・ボ公使の対談が開催されました。
ラナーリ・ボ公使はブラジル映画の専門家でもあります。
(ラナーリ・ボ公使)
「本国にいるとき首都ブラジリアのブラジル大学で
映画についての講義を持っていました。
今日は、ジョアキン・ペドロ・ヂ・アンドラーヂ(ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ)を、
トロkピカリズモの文脈の中で解説したいと思います」
「そして今日、長谷川祐子さんのお隣でお話できることを
大変、光栄に思います」
「東京都現代美術館では現在、
「ネオ・トロピカリア」を開催していますが
長谷川祐子さんが大変素晴らしいキュレーションをされています」
まずは、東京フィルメックスで特別上映される
ジョアキン・ペドロ・ヂ・アンドラーヂ作品の一部を観ながら
ラナーリ・ボ公使が解説をされました。
ちなみに、ジョアキン・ペドロ・ヂ・アンドラーヂ作品は
明日12月6日(土)、アテネ・フランセ文化センターで上映されます。
最初の紹介は『マクナイーマ』(1969)から。
「この映画は
マリオ・ヂ・アンドラーヂが1928年に発表した原作を
ジョアキン・ペドロ・ヂ・アンドラーヂが1969年の視点で解釈したこの作品です」
「古くからブラジルにあった
“シャンシャーダ”と呼ばれる大衆向け映画の
生まれ変わりと言う事もできます」
「映画製作当時の
軍事政権下のブラジルの現実も反映させた場面もあります」
マクナイーマはジャングルで黒人として生まれますが
あるとき、白人に生まれ変わります。
白人のときのマクナイーマを演じるのがPaulo Jose パウロ・ジョゼー。
共に大衆に人気のあった俳優さんです。
特にグランヂ・オテロは40~50年代から
大衆に人気のあった「シャンシャーダ」と呼ばれる映画で
人気を博していた俳優さんです。
パウロ・ジョゼーは二役で、マクナイーマを生む母親の役も演じています。
「マクナイーマの性格を端的にいえば
なんでも、かったるいと、めんどうくさがります」
「有名な、人肉のごった煮スープの場面は
誇張されてはいますが、“食人主義”を表現しているメタファーです」
「ホベルト・カルロスの音楽も流れます」
「『キャットスキン』は
ファヴェーラを舞台にした5つの短編を集めた
オムニバス映画の中のひとつです」
「シネマ・ノーヴォの運動中でも
政治色を色濃打ち出していた時代の作品です」
「イタリアのネオ・リアリズモの影響を受けています」
「ジョアキン・ペドロ・ヂ・アンドラーヂ監督の長編第一作です」
「ガヒンシャはペレと並ぶ、人気の高かったサッカー選手です」
「1963年当時の映画言語を用いている作品です」
「ただ、ジョアキン・ペドロ作品として観た場合
その後の彼の映画に出てくる
キャラクターの萌芽が見られるのが興味深いと思います」
「ガヒンシャには
マクナイーマというキャラクターに通じるものがあります。
サッカーでは神業を見せてくれて
とても成功した選手でしたが
クセのある人でもありました。
でも、そういった性格もまた、人気の要因でした」
「ジョアキン・ペドロ監督は
サッカーを観戦する人々も、観察しています。
だから『ガヒンシャ』は、
ブラジルの一般大衆、民衆の記録としても
価値の高い映画となっています」
「ジョアキン・ペドロ監督は
社会問題を深刻に捉えていました」
「この映画が公開された1963年は
まだ軍事政権のクーデターの前で
映画製作の表現にも自由がありました」
「このころはまだ
民衆をの姿を撮影する、ということに
意義を見出すことができました」
「この映画は注文」を受けて製作されたドキュメンタリー映画ですが
内容的には、それを超えるものになっています」
「ブラジルにおいてサッカーが
社会的にどのような存在なのかが
理解できる作品となっています」
最後は『夫婦間戦争(Guerra Conjugal ゲーハ・コンジュガウ)』(1975)。
「軍事政権下で作られた映画ですが
商業的にも成功した作品です」
「ジョアキン・ペドロ監督ならではの
アイロニーが反映されています」
「ここでもジョアキン・ペドロ監督は
『マクナイーマ』にも出演している
Wilza Carla ウィウザ・カルラという
TVや映画で有名な俳優を起用しています」
ウィウザ・カルラは
50年代からピンナップ・ガールや女優として活躍、
70年代に量産されたエロチカ系映画でも活躍して
大衆的に大人気だった女優さんです
「3組の男女のエピソードが交錯する構成となっていますが、
原作者のいくつかの小説から
いろいろなエピソードを使っています」
ラナーリ・ボ公使の解説のあと、
長谷川氏とラナーリ氏の対談が行われました。
対談の模様は改めてお伝えします。
麻生雅人(あそう まさと)
ブラジルに心を奪われたモノ書き。雑文から音楽評論まで。雑誌は「R25」などに執筆。書籍編集、番組構成、CD監修なども。「ブラジル大作戦」(MUSIC AIR)、「Radio Brisa Brasileira」(STARdigio)が放送中。書籍では「サンバ」、「ブラジリアン・ミュージック」(共にシンコー・ミュージック)など。個人blogでもほぼ毎日ブラジル関連情報紹介中(http://brisabrasileira.pokebras.jp/)。写真はアサイーの故郷トメアスーのCAMTAにて。
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