12月17日(水)、宮沢和史さんがフォトエッセイ「BRASIL - SICK」の発売記念サイン会が東京都現代美術館(MOT)を行いました。
これはMOTと宮沢さんのコラボ企画の一貫。
この日は同じ会場で記者会見と演奏も行われました。
「(リヴァイアサン・トト--指より)リキッド・フィンガー・タッチ」の中で
「足跡のない道」を、マイクを使わず生の弾き語りで歌われました。
その後、ブラジルへの想いや
美術館とのコラボに関してお話がありました。
「94年にブラジルのリオデジャネイロに行って
ドギモを抜かれまして。
あまりの巨大さと躍動感を目の当たりにして」
と思ってそれを知りたくて
毎年のように通って
この14年間に20回以上は
ブラジルを訪ねていますが
未だに、そのエネルギーの根源は
何なのか見つからなくてブラジルに通っています」
「これから日本という国が
どこへ向かうのか...
小さな船ではあるけれど
この船がどこに向かって舵をとっていくのか
どこへ向かえばいいのか」
「先が見えない昨今ではありますが
そのヒントがブラジルという
始まって(※独立して)200年くらいしか経っていない国の
彼らの生き方の中にあるような気がして
ブラジルをぜひ日本人に紹介できたらなと思い
『BRASIL-SICK』という本を作りました」
『BRASIL-SICK』には
国内外の宮沢さんの仲間も多数参加、
仁礼博さんの撮影した写真もたくさん掲載されています。
「ブラジルのことを考えるときにまず
ブラジルに数多く暮らしていらっしゃる
日系人のことを思います」
レコーディングなどの活動をする上でも
日系人の方の力をお借りしてきました」
「3年前に
パラナ州のロンドリーナを訪ねました。
ここはコーヒー農園で成功した日系人が
大きくした街です」
「ここで中川トミさんという方にお会いしました」
「中川さんは当時98歳で
笠戸丸という
日本からの一番最初の移民船に乗ってブラジルに渡った方です」
「お話を伺うことができたんですが
そこで聞いた
移民の方の生きざまや移民史から
僕が感じたことを
僕なりに歌にしたのが
『足跡のない道』です」
「この歌を是非
移民100周年の今年、
ブラジルにいる方にも聴いて欲しいと思って
ぜひ中川トミさんにも聴いていただきたかったのですが
残念ながら中川さんは2年前に亡くなられていました」
今年宮沢さんは
ブラジル各地を訪ねたりコンサートを行ったりしましたが
中川トミさんと交わした、
また来るとよ、という約束を果たしに
ロンドリーナも訪ねています。
MOTとのコラボで、
宮沢さんがエリオ・オイチシカの作品
“着る絵画”パランゴレをまとった
「ネオ・トロピカリア」展のポスター(左)も制作されました。
「ブラジルから帰ってきてからは
日本に30万人以上暮らしている
在日日系ブラジル人の方々と一緒に
移民100周年をお祝いできたらと思い
ジルベルト・ジルとコンサートをやって
横浜ではフリーコンサートもできました」
「そんな
いろんな想いが、今年に集約していまして
そんな想いを一冊の本に
まとめられないかなと思って作ったのが
『BRASIL-SICK』です」
そして質疑応答が行われました。
--ブラジルに行く前と行た後に
考え方が変わったことはありますか?
「サンパウロの沖縄県人会の方に
お会いした時に思ったんですが」
「明らかに違うんですよ、生きる迫力が。
躍動感、と最初に言いましたが...
その奥にある悲しみも含めて...」
「もともと、移民の歴史というのは
順風万帆だったわけではなくて
想像を絶する苦労や苦しみを乗り越えて
今のブラジルにはなくてはならない
日系人社会を作り上げられたんだと思います」
「その力の奥には
日本への郷愁や愛、
日本人としての誇りなどが
あるんじゃないかと思います」
「ブラジルは
未来がある国だなと思います。
そこにワクワク感がある」
「ブラジルというのは
さっきもちょっと言いましたが
まだ新しい国です」
「僕の音楽家の仲間も
よく話していても、よくそう感じます」
「音楽もそうで、
サンバやショーロにしても
伝統は確かにあるし
伝統が継承されているものなんだけど
想像するより新しいものなんですね」
「だからブラジルは
これからの国。
どんどん進んでどんどん成長している」
「定期的に通っていると
それがすごくよくわかる。
そのブラジルの
右肩上がりのエネルギー、
でも古いものもとても大事にしているんだけど
そういう成長していく迫力や
エネルギーがブラジルに惹かれるひとつです」
橋本氏はパナラ州出身の日系3世で
日本で働くブラジル人の相談役として活躍されています。
--日系ブラジル人のためにポルトガル語で歌う予定はありますか?
「約32万人もの
日系人を含むブラジル人が日本で生活しているのに
あまりにも交流がなさすぎると思います」
「聞こえてくるのは
お互いの文化的の違いからくる摩擦や
犯罪のことばかりで」
「実際に交流して
お互いを理解し合おうという動きが
あまりにも少ないのは寂しいですね」
「ここ最近は日本も不況で
リストラされる人も増えていますが
職を失ったブラジル人の方が増えていて
ホームレスになったり
ブラジルに帰りたくても帰るお金がない
しかし仕事はない...」
「そういう話を聞くと
何かできないかと思うんですが
僕は音楽家ですから
大きなことはできないんですが」
「僕に出来ることは
音楽というのは国籍も民族も言葉も超えて
コミュニケーションができるものですから
そういう場を増やしていけたらいいなと思いますし
ブラジル人の方が多いところでは
なるべくポルトガル語で話かけたり
歌ったりするようにしています」
「今年は移民100周年だったわけですが
これからの100年も
さらに絆を深めていければいいなと思います」
麻生雅人(あそう まさと)
ブラジルに心を奪われたモノ書き。雑文から音楽評論まで。雑誌は「R25」などに執筆。書籍編集、番組構成、CD監修なども。「ブラジル大作戦」(MUSIC AIR)、「Radio Brisa Brasileira」(STARdigio)が放送中。書籍では「サンバ」、「ブラジリアン・ミュージック」(共にシンコー・ミュージック)など。個人blogでもほぼ毎日ブラジル関連情報紹介中(http://brisabrasileira.pokebras.jp/)。写真はアサイーの故郷トメアスーのCAMTAにて。
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