TOKYOブラジル散歩

トーキョーワンダーサイト本郷で開催中の「Haptic-触覚  ヴィック・ムニーズ キュレーションによるブラジル・日本アーティスト展」に参加している3人のアーティストにお話を伺いました。

トーキョーワンダーサイト本郷で開催中の
「Haptic-触覚  ヴィック・ムニーズ キュレーションによるブラジル・日本アーティスト展」
に参加している
Efrain Almeida エフライン・アウメイダ(アルメイダ)さん
Tomoko Nagai 長井朋子さん
Erika Verzutti エリカ・ヴェルズッティさん
の3人に、お話を聞く機会をいただきました。

 


---エフラインさんの彫刻作品は
とても優しい表情をしています。


その柔和な表情は
セアラー州に伝統的に伝えられている
リテラトゥーラ・ヂ・コルデウの
表紙に使われている木版画に描かれる
人や動物に
通じるものがあるような気がしました。


もちろんエフラインさんは
モダンアートの作家であって
コルデウのような大衆文化を手がけているわけではありませんが
身近な存在だったとしたら
無意識に何か影響を受けているのではないかと思ったのですが...

 

Efrain Almeida Auto-retrato com Tattoos.JPG
エフラインさんのセルフポートレート彫刻
 

エフライン
「もちろんコルデウは知っています。
僕の生まれた地方には、たくさんありますから」


「でも僕自身にとっては
それほど身近なものではありませんでした」


「でも
コルデウの表紙の版画の技法を使って
作品を作ったことがあります」


「僕は自分の彫刻に
さまざまな技法を使うんだけど
本のカバーをデザインする仕事を請け負ったときに
その技法を使ってみました」


「でもそれは
いろいろ試してみた技法のひとつにすぎません」

 


---あなたが影響を受けるものには
どんなものがありますか?

 


エフライン「寓話や宗教的なイメージから
アイディアが湧くことが多いと思います」

 

 

---エリカさんもおもちゃをはじめ
身近なものをなんでも素材にされていますね。

 


エリカ「私が使っているのは
いわゆるアーティストが一般的に使うものではなく
家庭で使うペンキとか
どこにでもあるものです」

 


「東急ハンズはとても気に入りました(笑)。
色のついた糊、というものが
普通に存在しているなんて知りませんでした!」

 

Erika Verzutti Mirror.JPG
エリカさんの作品。ハンズで見つけたフェイクのブロンズを使用

 

 

 

 

 

 

 

---長井さんは今回
ブラジルのアーティストたちと
共にアトリエをシェアして作品を作られて
今までと何がいちばん違いましたか?


長井「まずもう、今までは作品作りは一人の世界でしたから
それが人と一緒にいるだけで全然違うのに
そのうえ日本語を喋らないブラジルの方ですから(笑)」


「私がアトリエをシェアしたレダさんは
おしゃべりをしたり
歌を歌いながら制作をしていたんですけど
それがとても新鮮でした」


「こちらもテンションが上がって
楽しく作品が作れました」


「スタジオがひとつになって
制作ができたと思います」

 

OsTresArtestas1.JPG
左からエフラインさん、エリカさん、長井さん

 

 

 

 

 

 

 

---生活の中にアートがある、というか
生きることがアートになっているという
ブラジル・スタイルに
長井さんは合っているんですね(笑)。

 


長井「もともと私にとって絵を描くということは
生活の中で特別なことではなく
ショピングとか服を選んでいる感覚や
雑貨を集めて楽しんでいる感覚
美味しいものを食べている感覚
友達と話している感覚なんかと
違いがないことなんじゃないかなと思っています」

 

 

---ああ、じゃあまさに
そういう感覚が共有できたんですね。


長井「そう思います」

 

---アトリエをシェアしたレダさんだけでなく
エフラインさんもエリカさんも
スタジオにいた全員が
そんな感じだったんでしょうね。
長井さんはエリカさんの猫を
「魚のユメをみている」
という作品の中に登場させていますね。

 


長井「逆にエリカは
私の飼っている
ポメラニアンを作ってくれました」


エリカ「私たちも、とてもとても楽しかった」


エフライン「僕も一緒に制作をして
刺激を受けました。
TOMOKOの絵は
タイプも使う色もユニバースな表現だから
たとえ言葉が通じなくても
作品に入り込むことができるしね」

 


 

---最後に、
アーティストの作品は
個人個人のオリジナリティが重要だし
ひとつの潮流だとか
カテゴリーに括られないもだということは前提で、
それでも、
ブラジル人の生みだすアートには
ブラジルらしさというものがあるような気がします。


そんな“ブラジルらしさ”があるとするならば
エリカさんやエフラインさんは
それがどんなものだと思われますか?

 

白鳥.JPG
エリカさんの作品。白鳥

 

 

 

 

 

 


エリカ「ブラジル人の特徴として
とても朗らかな一面、
人恋しさを感じる一面が
あるのではないかと思います。
ブラジル人は
人と接することを好みますよね」


「その反面、団体行動が苦手です(笑)」


「人恋しさを感じながらも
一人一人が強い個性を持っている...
それが
ブラジルの創造性に繋がっているような気がします」

 

 

エフライン「これは日本に来て
ブラジルとの違い
ということで感じたことですが...」


「京都にお寺や仏閣を見にいったとき
町に並んでいる庭や建物の
ひとつひとつに
関連性があるように感じました」


「建物が
背景である山や木などの景色を含めて
とても調和がとれているように感じました」


「その景色から
どれかひとつを除いても
サマにならなくなってしまうほど
美しく調和がとれていました」


「こういう調和美は
ブラジルにはないものです(笑)」


「ブラジルでは町の中でも
ひとつひとつの建物が
全く異なるオリジナリティを主張しています」

 

---バグンサですね(笑)。
そんな日本とブラジルの
それぞれの良さや違いを
今回のコラボレーションで
より強く感じられたということですね。

 

エフライン「どちらかが優れていてどちらかがダメ
ということはないわけですからね」


「アートにはいろいろな形があります」


「そのひとつひとつの特徴を知ることで
自分のアートの可能性を
広げていくことが出来ます」


「私はこれからも
アーティストとしての視野を
どんどん広げて行きたいと思います」

 

 


最後のエフラインさんのコメント、
貪欲に異文化に接して
自分の中で咀嚼していくことで
さらに自分の視野を広げていく...
まさに“食人主義”的な創造性!


そんなエフラインさん、エリカさん、
長井さんたちの作品が展示されている
「Haptic-触覚  ヴィック・ムニーズ キュレーションによるブラジル・日本アーティスト展」は
来年、1月12日(月)まで開催中です。

 


トーキョーワンダーサイト本郷
http://www.tokyo-ws.org/hongo/index.html

会期 :2008年11月22日(土)~2009年1月12日(月・祝)

休館日 :
月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、年末年始(2008年12月29日~2009年1月5日)

時間 :11:00~19:00 (入館は閉館の30分前まで)

入場料 : 無料

麻生雅人(あそう まさと)

ブラジルに心を奪われたモノ書き。雑文から音楽評論まで。雑誌は「R25」などに執筆。書籍編集、番組構成、CD監修なども。「ブラジル大作戦」(MUSIC AIR)、「Radio Brisa Brasileira」(STARdigio)が放送中。書籍では「サンバ」、「ブラジリアン・ミュージック」(共にシンコー・ミュージック)など。個人blogでもほぼ毎日ブラジル関連情報紹介中(http://brisabrasileira.pokebras.jp/)。写真はアサイーの故郷トメアスーのCAMTAにて。


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