TOKYOブラジル散歩

東京都現代美術館チーフ・キュレイターの長谷川祐子氏と、駐日ブラジル大使館のジョアン・バチスタ・ラナーリ・ボ公使の対談、第三弾です。

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(ジョアン・バチスタ・ラナーリ・ボ公使)

「現在、東京都現代美術館に
エリオ・オイチシカという作家の作品が展示されています。
オイチシカは
ブラジルの現代美術の中で
おそらく最も重要な作家と言えるでしょう」

 

 

 

「オイチシカが関係していた
トロピカリアと
シネマ・ノーヴォは異なるムーヴメントで
トロピカリアに近い映画では
“シネマ・マージナウ”と呼ばれているジャンルがあります」


「しかし、
ジョアキン・ペドロの『マクナイーマ』や
グラウベル・ホーシャ(ローシャ)の映画などは
トロピカリスタと言えると思います」

 

 

(長谷川氏)

「さきほど言及していただいたエリオ・オイチシカが
どんな作品を作っていたかというと
彼は元々、コンクレチズモ(具体主義)という
幾何学的に絵を書くというところから勉強をはじめたんですが
それがどんどんリズミカルになって
立体的な彫刻に変わっていって
最終的に“着る絵画”を制作します」

 

「さきほども『キャットスキン』にも出てきたような
ファヴェーラと呼ばれる地域で
人々が
年に1回のサンバ・カーニヴァルにために
何を纏って踊るかというのは大きなテーマになります」

 

 

 

「マンゲイラという
大きなサンバ団体(エスコーラ・ヂ・サンバ)があるんですが
オイチシカは
友達の彫刻家に
そこで衣装をデザインしてくれないかと頼まれました」

 


「それまで幾何学的な作品を作っていたオイチシカは
マンゲイラで
人々の中にある非常に活き活きとした表現力や
リズミカルだったり
生命力が大地に根付いたような
素晴らしいパフォーマンスに出会いました」


「そこで彼は
生きることの形が、そのままアートの形になる
生きることはアートそのものになる
と言いました」

 

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「さきほど『ガヒンシャ』の紹介で
サッカー場の観客の話が出ましたが
私もリオの
サッカー・スタジアムに行ったことがあります」


 

 

 

「プレイヤーよりも、観客に釘付けになります。
パーフォーマンスが凄い。
みなさんもTV中継などで
でっかい旗が並々と描かれるのを観たことがあると思いますが
あれも、
パフォーマンスを仕切っている人がいて
彼に従っていれば
初めての人でもパフォーマンスできるんです」


「アートや演劇を観る習慣のない人々、
民衆の力、パフォーマンス力が
素晴らしいと思いました」


「ジョアキン・ペドロ監督が
大衆を撮って、彼らに魅了されたというのが
私にもリアリティを持って伝わってきます」


「もうひとつは
それまでの映画は
大時代がかった
ハリウッドの初期の作品のような
影響があったんじゃないかと思うんです」

 


「それが、
もっとシンプルに
“手にカメラを、頭にアイディアを”
というスタンスからシネマ・ノーヴォが始まったときに
ブラジルという国には
素晴らしいパフォーマンス、光景が
路上に展開しているところだとわかったと思うんです」

 


「そこから
それぞれの監督が
何を捉えていったかということの
エキサイティングなプロセス...
<そこ>にあるものに
メッセージなどを組み込んで
マストアップ化していったプロセス...
それがブラジルの
大事な映画のシーンを作っていったんじゃないかなというのが
アートを専門にしている私の考えです」

 

 

 

 

 

「もうひとつ
今、美術館で
リナ・ボ・バルジという建築家も紹介しています」


 

「リナ・ボ・バルジはイタリアから来た建築家で
彼女はイタリアで
第二次大戦後に爆破されてしまった遺跡を
写真で撮っていました」


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リナ・ボ・バルジはMuseu de Arte de São Pauloの建築でも有名です。
 

「戦争がいかに風景を破壊してしまうかという
ひとつのドキュメンテーションを作っていました」

 


「そんな彼女がブラジルにやってきて
民衆の力に、感動したわけです」

 


「バイーア地方で
コミュニティ・センターをデザインして
そこで様々なプログラムをディレクションしたり
若い学生にいろいろなことを教えていました」

 


「このコミュニティ・センターで
リナのアシスタントをしていたのが
シネマ・ノーヴォの代表的な映画作家となる
グラウベル・ホーシャでした」

 


「いかに、
人々の中にある力を汲み上げていくかということを
リナ・ボ・バルジは
プログラムを通して
コミュニティの人々に伝えていったわけです」


「バイーアは
カエターノ・ヴェローゾや
ジルベルト・ジルを生んだ場所でもあります」


「トロピカリアという運動に力を与えていったわけですが
グラウベル・ホーシャ監督も
その一人だったというのも
私にとっては非常に面白いことですね」

 


対談はさらに続きます...。

麻生雅人(あそう まさと)

ブラジルに心を奪われたモノ書き。雑文から音楽評論まで。雑誌は「R25」などに執筆。書籍編集、番組構成、CD監修なども。「ブラジル大作戦」(MUSIC AIR)、「Radio Brisa Brasileira」(STARdigio)が放送中。書籍では「サンバ」、「ブラジリアン・ミュージック」(共にシンコー・ミュージック)など。個人blogでもほぼ毎日ブラジル関連情報紹介中(http://brisabrasileira.pokebras.jp/)。写真はアサイーの故郷トメアスーのCAMTAにて。


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