TOKYOブラジル散歩

第5回スペイン・ラテンアメリカ映画祭でシコやカエターノ、トニ・ガヒードが出演した「ファド」を見てきました。

 

毎年、少なくとも1作品はブラジル映画が紹介される「スペイン・ラテンアメリカ映画祭 ~Latin Beat Film Festival」。

 

今年は、
カルナヴァウの日に起こるサウヴァドールを舞台にした群像劇(ラーザロ・ハモス、ヴァギネル・モウラが出演)Globo Filme作品「オーパイオー」、
歌や演奏を軸にしたポルトガルの大衆歌謡ファドのドキュメンタリー「ファド(原題「Fados」)」(シコ・ブアルキ、カエターノ・ヴェローゾ、トニ・ガヒードが出演)、
ブラジルとの国境近くにあるウルグアイの村を舞台にしたコメディ「法王のトイレット」(ブラジル=ウルグアイ合作)、
軍事政権下のチリを舞台にした「トニー・マネロ」(ブラジル=チリ合作)と、
4作品もブラジル関連映画が上映されています。

 


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今日は「ファド」を観てきました。

 

昔ながらのファドから最近のファド、ファドを土台したヒップホップまで、ファドの今昔を紹介する作品です。

 

 

 

それぞれのファドを歌うのは、基本的には現役の演奏者と歌手ですが、故人に関しては現存する映像が使われています。

 

 

 

 

 

これまでにも「タンゴ」、「フラメンコ」の映画を撮影したカルロス・サウラ監督。
歌や演奏だけでなく、ダンサーによるパフォーマンスや、演劇の舞台をように遠近法的な視覚効果を使った映像で、退屈させずに見せる演出が流石です。

 


<モヂーニャ>や<ルンドゥ>などブラジル音楽との関連の深い音楽も紹介されていたし(しかもここでヴォーカルに起用されていたのがシダーヂ・ネグラのトニ・ガヒード!)、

<ファド・バチード>という音楽にマラカトゥに似たリズムが使われていたり、アマリア・ロドリゲスの曲をカエターノが歌ったり、ブラジル音楽ファンにも興味深い作品でした。

 


ファドとブラジルの関係を直接示唆するシーンは、シコ・ブアルキが「Fado Tropical ファド・トロピカウ」を歌う場面。軍事政権下の1973年に発表されたこの曲は、映画監督でもありMPBの作詞でも活躍したRuy Guerra フイ・ゲーハが作詞をした歌です。

 


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映画の後に行われたカルロス監督とのティーチインで、この曲を使った意図をたずねてみました。

 

監督いわく..
「ファドが生まれたのは19世紀で、ファドの歴史は新しいものです。
その起源には、ポルトガルが占領していた国々...アンゴラなどアフリカの国やインドのゴアなどの文化が影響しています。


そしてファドの起源には、ブラジルも大きくかかわっています。これには、ポルトガル王朝がブラジルに行ったことが大いに関係しています。


現在のファドはノスタルジックでロマンチックな面が残って表に出ていますが、もともとのファドは今とは違ったのです。トロピカルな影響、という面では、ブラジルやアフリカの影響を忘れるわけにはいきません」

 

実際、この映画は、カーボ・ヴェルヂ(カーボベルデ/旧ポルトガル領)のサンジョゼーのお祭りの音楽と踊りからスタートします。ここで出てくる、おへそをぶつけ合う踊りは、ブラジルにあるウンビガーダを想わせます。

 

カーボ・ヴェルヂはアフリカからブラジルへ奴隷として連行された人々を中継した場所でもあり、ポルトガルとブラジルの両文化が交錯していました。

 

このお祭りでは、人々が船員の格好をしていたり、船を型どったかぶりもの系の衣装を着ていたりしますが、これも、海を渡って伝わった文化がファドに影響していることを映画の冒頭で示唆する、という意図があったようです。

 


「かつてアフリカ文化は奴隷船とともにポルトガルへ運ばれてきました。
でも今のポルトガルには古いアフリカ文化はあまり残っていません。今は、職業を求めてやってくる移民によって、新しいアフリカの文化がポルトガルに運ばれてきています」(同)

 


新しいアフリカ文化の影響は<モザンビーキ>という音楽に感じられました。


伝統を下地に変化し続けるファドの姿をとらえたこの「ファド」は、ファドに詳しくない僕にも楽しめる映画でした。

 


東京での上映は今日が最後でしたが、9月23日(火)11:00~ 大阪・なんばパークスシネマで上映があります。

詳細は映画祭HPを。
http://www.hispanicbeatfilmfestival.com/

 

「法王のトイレット」と「トニー・マネロ」は、明日以降も東京での上映があります!

 

 

 

 

麻生雅人(あそう まさと)

ブラジルに心を奪われたモノ書き。雑文から音楽評論まで。雑誌は「R25」などに執筆。書籍編集、番組構成、CD監修なども。「ブラジル大作戦」(MUSIC AIR)、「Radio Brisa Brasileira」(STARdigio)が放送中。書籍では「サンバ」、「ブラジリアン・ミュージック」(共にシンコー・ミュージック)など。個人blogでもほぼ毎日ブラジル関連情報紹介中(http://brisabrasileira.pokebras.jp/)。写真はアサイーの故郷トメアスーのCAMTAにて。


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