TOKYOブラジル散歩

「ネオ・トロピカリア:ブラジルの創造力」概要発表の続きです。
東京都現代美術館 チーフキュレイターの長谷川祐子氏のお話のつづきです。
リジア.jpg
「リジア・クラークはエリオ・オイチシカと同じ世代の作家です。彼女も、“心理的なセラピー”ということで、モダン彫刻、モダン絵画から、この作品(写真)のように観客が実際に触って形をつくることができる、参加型の彫刻を提案しました。素材はアルミやブリキ、銅などで出来ているんですが、実際に組み立てることができます。

折り紙を想定される方もいらっしゃると思うんですけど、ドゥ・イット・ユアセルフでいろんな形を作っていきます。
この作品は写真では小さく感じられるかもしれませんが、かなり大きなものです。レプリカを美術館に展示します」

「こちらはマレッペという若い作家なんですけど、バイーア地方の近くに住んでいます。
自分の住んでいるところを愛していてなかなか動こうとしない方です。
インプロヴィゼイション--ブラジルのアーティストが持っている即興の力を非常に巧みに体現しているアーティストと言えます。

マレッペ1.JPG これ(写真)は、たらいのようなものを二つ組み合わせて、拡声器のようなもの--密かにおしゃべりができるものです。
これは見方によっては、非常にポリティカルな発言をするときにひそひそ話をしていく、という風にも見えますし、囁きのためのポエティックな道具にも見えます」

「これもマレッペのインプロヴィゼイション。
私はこれを見たときに、日本の俳句とか短歌、短いポエムを思い出しました。
それは、私たちが見たものをキャッチアップして、ひとつの詩に変容させていく力です。

unnko.jpg
ただ上向いて綿菓子を食べてるだけんなんですけど、それで雲を食べてしまう、世界を食べてしまう...
そういう小さな営為から、とてもスケールの大きいイマジネーションに移って行く。」
そういうインプロヴィゼイションの詩の力、というのを、彼の作品からは感じられます」
アルトゥール・ビスポ・ド・ホザリオ.JPG「アルトゥール・ビスポ・ド・ホザリオは、もう亡くなったんですが、セルフ・トート(自己流)のアーティストです。
非常にブラジルのプリミティヴなカルチャーに深く関わった方です」
 

「レオニウソン。エイズで亡くなったんですが、70年代~80年代のはじめにかけてアートの世界を強く牽引した方です。
レオニウソン.JPG
この方は、ミクロポリティクスと言われている、小さな自分自身の発言や囁きが大きな政治的な力に結びついていくという、90年代以降に現われた大きな芸術の動向を先取りした人といえると思います。
自分自身の本当に私的な物語、ダイアリーなどを題材にしたり、インティメント..私的な言葉を使った方です」

 

「エリカ・ヴェルズッティは非常に若いアーティストなんです。
ドレスがモチーフなんですけど、ドレスにワニが書いてあるんですが、こういう自由なイメージをどんどん描いていってドレス・ペインティング、スカート・ペインティングと呼んでいるようなものを多彩に展開しています。

エリカ・ヴェルズッティ.JPG
私たちが抱くトロピカルなイメージを体現しているアーティストだといえます」

「ネオ・トロピカリア:ブラジルの創造力」
10月22日(水)~2009年1月12日(月・祝)

東京都現代美術館
東京都江東区三好4-1-1
03-5425-1141(代表)
http://www.mot-art-museum.jp/

麻生雅人(あそう まさと)

ブラジルに心を奪われたモノ書き。雑文から音楽評論まで。雑誌は「R25」などに執筆。書籍編集、番組構成、CD監修なども。「ブラジル大作戦」(MUSIC AIR)、「Radio Brisa Brasileira」(STARdigio)が放送中。書籍では「サンバ」、「ブラジリアン・ミュージック」(共にシンコー・ミュージック)など。個人blogでもほぼ毎日ブラジル関連情報紹介中(http://brisabrasileira.pokebras.jp/)。写真はアサイーの故郷トメアスーのCAMTAにて。


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