TOKYOブラジル散歩

「ブラジル映画祭2008」の プレ・イヴェントに行ってきました!

今年も10月10日(金)からトゥピニキーン・エンタテインメントの「ブラジル映画祭2008」が開催されます。
それに先駆け、昨年までの上映作品が無料で見られるプレ・イヴェントが昨夜から赤坂・アーク・カラヤン広場で開催中。

ニュースはこちら!
http://www.brasil2008.jp/event/post_39.html

 

さっそく、初日に行って来ました。


プレ.jpg
昨夜はブラジル音楽のミュージック・クリップが何曲か紹介された後に、ショート・フィルムが上映され、最後に長編映画「ドゥトーリス・ダアレグリーア(ドクター・ピエロ)」が上映されました。


ショート・フィルムの中には、これまでのブラジル映画祭で紹介されていない初公開のアニメーションもありました。

 

 

 

長編の「ドゥトーリス・ダ・アレグリーア(ドクター・ピエロ)」は、2006年のブラジル映画祭で、個人的に一番感動した映画です。


入院している子供たちをピエロに扮した医者が寸劇や音楽、お話などで楽しませて、「物理的な医療」ではなく「目に見えない部分の医療」を行うプロジェクトのドキュメンタリー映画です。


でも単に、入院中の子供を道化が元気になれよ、と励ます...という次元の話ではありません。


彼らの存在を知らなかった病院のスタッフも、皆,最初はそう思うようです。
ウチの病院にはそんな茶番はいらないよ、と。


しかし、活動方針を具体的に聞いて、実際に活動をみると、その違いを思い知ることになりるようです。


ピエロに扮するのは全てプロの俳優さんたち。

 

「吉本新喜劇」、「あっちこっち丁稚」、「花の駐在さん」並のベタベタなギャグも、バカや間抜けを演じるのも、ちゃんと技術があるからスベらずにキッチリできるのです。
もちろん音楽も技術もハートもあるから、子供たちに伝わるのです。


ピエロであることにも理由があり、彼らの行動には心理的、科学的な裏付けがあります。


もちろん、病室に逢いに行っても、全ての子供が心を開いて会いたがってくれるとは限りません。
しかし、食事や入浴をはじめ、入院生活の全てが、医者に従うようになっている病院では、子供たちが自分の意志でNOを言える機会はまずありません。ピエロを拒否することもまた、彼らにとって重要な意味を持っているのだそうです。

 

ひとつだけ、映画に登場する具体的なエピソードを記します。
(それでもネタバレ嫌! という方はとばして読んでください)

 

ドクター・ピエロは、面会謝絶や昏睡状態の子供を訪れることもあるそうです。


ある日、ひとつの病室を訪れた彼らは、数ヶ月前に退院した子供と再会します。
その子は、再入院して、昏睡状態が続いていました。


ドクター・ピエロは、それでも再会の挨拶に、かつて彼に歌った歌を歌いました。

そのとき、確かに子供は微笑んだのだそうです。
もちろん付き添いの親ごさんも驚き、喜んだそうです。


その後、歌に子供はまったく反応しませんでしたが、芸が終って,「それでは来るね」とピエロが挨拶をしたら、子供は確かに、親指を立てて挨拶をしたのだそうです。
病院では医学的には昏睡している子供ですが、ドクター・ピエロの歌は伝わっているようなのです。


ピエロは子供と同じ発想をするので、相手が昏睡していようがおかまいなしに、「で? ねえ,遊ぼうよ」と話し掛けます。
科学的に相手がどのような状態であるかも関係ありません。
そんなピエロという存在になりきるからこそできる治療が、あるのではないでしょうか。


...というようなことが、実例や楽しいエピソードを交えて語られる映画です。


ブラジルの音楽や映画に接していると、改めて「生きる」という意味について考えさせられることがたびたびあります。
この映画も、僕にとっては、そんな作品のひとつです。

 

「ドゥトーリス・ダ・アレグリーア(ドクター・ピエロ)」はあさって、13日(水)にも上映されます。
(この映画の上映は、大体、20:00頃からです)

 

「ブラジル映画祭2008」プレ・イベント

アーク・カラヤン広場(アークヒルズ内)
8月13日(水)まで  
各日19:00~21:30上映(予定)
入場無料
雨天決行(荒天時は中止)

詳細はアークヒルズHPをご覧下さい
http://www.ehills.co.jp/rp/dfw/EHILLS/event/ark_cinema/2008/cinema2008_brasil.php

 

 

 

麻生雅人(あそう まさと)

ブラジルに心を奪われたモノ書き。雑文から音楽評論まで。雑誌は「R25」などに執筆。書籍編集、番組構成、CD監修なども。「ブラジル大作戦」(MUSIC AIR)、「Radio Brisa Brasileira」(STARdigio)が放送中。書籍では「サンバ」、「ブラジリアン・ミュージック」(共にシンコー・ミュージック)など。個人blogでもほぼ毎日ブラジル関連情報紹介中(http://brisabrasileira.pokebras.jp/)。写真はアサイーの故郷トメアスーのCAMTAにて。


戻る過去の記事一覧へ