TOKYOブラジル散歩

昨夜、ブラジル大使館で、10月22日から東京都現代美術館で開催される「ネオ・トロピカリア:ブラジルの創造力」展の概要発表がありました。

 

お話されたのは、東京都現代美術館 チーフキュレイターの長谷川祐子氏です。


長谷川氏.JPG
「ブラジルのコンテンポラリー・アートの今の状況をひとつの角度から切り取って見せる展覧会だとお考えていただければ、と思います」


 

 

 

 

 

「トロピカリアという言葉は、60年代に音楽、文学、アート、ファッションも巻き込んだ大きなムーヴメントが起こりました」


「1920年以来モダニズムを取りいれてきて独自のモダン化を進めてきたブラジルで、若いクリエイターたちが、自分たちの文化的アイイデンティティは、ジャングルやトロピカルな風土の中から生まれてきたのだと言いはじめました。

ある意味野蛮な人々、ジャングルに住む野蛮人たちが作る新しいモダニズムの創造、ということを提唱して、それをトロピカリアと名づけました。
最初に作品のタイトルに“トロピカリア”とつけたのはエリオ・オイチシカです。

 

トロピカリアと名づけられた作品は、美術館の中に小屋が作ってあって、砂のところを歩いていくといろんなトロピカルな植物が植えてあって、奥までいくと、文明の利器であるテレビが部屋の真中にドンと置いてある。
その光景が、自分たちのリアリティ、ということだったのだと思います。

 

自分たちのオリジナリティ、自分たちの環境、社会の問題を取り込みながら、アクティヴに日々の生活と関わらせて、それを一般の人にも浸透させようとした...そういう動きがアートにおけるトロピカリアなのだと、私は理解しました」


「1990年代以降に出てきた多くのアーティストたち--今回の展示にも多く含まれていますが--彼らはエリオ・オイチシカの影響を非常に受けていて、トロピカリアが持っていた精神、オリジナリティということと、自分たちのコミュニティ、あるいはアートに日ごろ関わらない隣人たちに向けて発信していく...ということを標榜していったのだと思います」


展示作品やアーティストの解説も行われました。
まずは、エリオ・オイチシカから。

エリオ・オイチシカ(エーリオ・オイチシッカ)と彼の作品に関しては『トロピカーリア』(音楽之友社)にも詳しく記されています。ここでも本が買えます。http://www.mpb-store.jp/database/Book/000621.html


マンゲイラ.JPG
「エリオ・オイチシカの“パランゴレー”という作品です。
ひとつの布をさまざまな素材で染めてそれを縫い合わせた形でマントにしていったものです。
マンゲイラというサンバの団体と一緒に生活をしながら、彼らにこれを着てもらってサンバのパフォーマンスを行ったものです。
つまり、もともと、ある意味でモダン絵画のようなシンプルな式面絵画だったものが、こういう風に布に染められ、着られること--人間がかかわることによって活性化され、生きながらの彫刻になっていく...。それがエルイオ・オイチシカのひとつの挑戦だったわけです」


“パランゴレー”に関しては『トロピカーリア』でも紹介されています。

以下、同書によればパランゴレーの名称は、自発的で突発的な愉しい“ハプニング”を意味するリオデジャネイロのスラングから来ているそうです。
1964年に近代美術館ではじめて展示された際には、マンゲイラのダンサリーナたちが実際に布を着用して踊ったそうです。

 

「エリオの実験的なやり方というのは、どうやって色を身体で感じていくか、ということでした。


オイチシカ2.JPG
これはラビリンスという、入れ子調の部屋の建築のモデルです。
彼は小規模でもインスタレーションを行っているんですけど、こういう式面に塗られた色を次々と通る事によって--オレンジの部屋、黄色の部屋に途中から移っていく--そのことによって自分の身体に投影されていく色の感覚をどういう風に感じとっていくか、ということを、身体的な感覚と共に実験しようとしたものです」

 

 

 

 

「これは実際に現代美術館で展示されますけど、部屋がいろんな色に塗られていたりとか、中にラジオだったり飲み物だったり、いろいろなものが置いてあります。


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これを通ることによって、音楽を聴いたりジュースを飲んだりして、色を自分の身体の中に入れていく...というような、エリオによるさまざまな試みがこの部屋で感じ取れるようになっています」

 

芸術家の意図を汲み、本格的に紹介される展覧会のようで、とても楽しみです。
記者会見では、他のアーティストも紹介されました。続きは追ってご報告します!

 


「ネオ・トロピカリア:ブラジルの創造力」
10月22日(水)~2009年1月12日(月・祝)

東京都現代美術館
東京都江東区三好4-1-1
03-5425-1141(代表)
http://www.mot-art-museum.jp/

麻生雅人(あそう まさと)

ブラジルに心を奪われたモノ書き。雑文から音楽評論まで。雑誌は「R25」などに執筆。書籍編集、番組構成、CD監修なども。「ブラジル大作戦」(MUSIC AIR)、「Radio Brisa Brasileira」(STARdigio)が放送中。書籍では「サンバ」、「ブラジリアン・ミュージック」(共にシンコー・ミュージック)など。個人blogでもほぼ毎日ブラジル関連情報紹介中(http://brisabrasileira.pokebras.jp/)。写真はアサイーの故郷トメアスーのCAMTAにて。


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